ノダケ(野竹)セリ科シシウド属
山際に一本だけ咲いているこの花のことが、ずっと気に掛かっていました。いつ花が咲くのだろうか気になって時々観察。葉鞘が開いて、小さな花の集まりである花序が大きく展開する時を1ヶ月ほど待っていたのですが、やっとその時の様子を撮影できてとても感動しました。
花の写真を撮っているとき目の前にスズメバチが一匹やってきて、花で蜜を吸い始めました。敵意がなさそうだったので静かに花と一緒に記念撮影。あとで調べるとスズメバチはノダケが大好きだということ。それにどうやらこのスズメバチはヒメスズメバチという比較的穏やかな性格のスズメバチだそうです。ああよかった!。
それにしても、この花はなんて個性的でなんだろう。とても存在感があるし野性味も溢れている。
節があり真っ直ぐに一本立ちをしている様子は、まるで野武士のような印象。しかも黒みがかった紫色はいぶし銀のようにも見えます。近くに咲いていても気づかないことも。なんだかずーっと見ていたくなるような花です。
俳優でたとえるなら高倉健。高倉健は映画「八甲田山」の撮影中は雪のなかでずっと立ちっぱなしだったとか。そうなんですよ。自分の責任を果たすまでは座れなかったのでしょうね。
歌でたとえるなら河島英五の「時代おくれ」。写真に映えることが求められる今、映えることを拒んでいるようにも見えます。時代の流れにのらないし時代に流されない、それもいいじゃないですか。それに群れないことも。
時代おくれ
ねたまぬように あせらぬように かざった世界に 流されず
目立たぬように はしゃがぬように~時代おくれの 男になりたい
いい歌だなぁ! 時代おくれの男になろう!
数日前、ノダケの様子を見に行ったところ、強い風雨のためでしょうか、根元から倒れていました。野に咲き、野に倒れる。それもこの花らしいのかもしれない。