対立のものさし
人間の善と悪は相対的で
人間の善と悪の関係は絶えず変化するもの
人間に絶対的な善はない
人間に絶対的な正義はない
わたしを善悪や正邪のものさしで縛らないでほしい
あなたを善悪や正邪のものさしで縛りたくない
わたしたちに正義のレッテルを貼らないようにしよう
あなたたちに邪悪のレッテルを貼らないようにしよう
善と悪に分けられた空気を読まないようにしよう
正義を確信することは危険なこと
正義を独占することは誰にもできない
握りしめたものさしが凶器になることを恐れよう
ものさしを振りあげる前に
静かに自分の正義を疑おう
自分を正当化していないか疑おう
自分を正当化しようとする愚かさを
深く深くみつめよう
対立する二つの価値観に縛られるとき
人間は考えなくなる
二つの選択がいのちの選別をする
人間の個性が二種類の色に塗りつぶされる
人間の考えが損益という二つの記号になる
人間は単純になる
複雑に見えるのは
集団や組織の損益が絡(から)まりあっているから
勇ましい言葉や排(はい)斥(せき)の言葉が飛び交い
弱者は口を閉ざす
人々は繰り返されるワンフレーズの言葉に酔う
そして、だれも考えられなくなる
わたしは一人の人
あなたも一人の人
わたしは本当の人間として生きる
あなたと本当の人間として向き合う
それだけでいい
それだけであたたかい
それが人間のつくった対立のものさしから解放されること
「あなた」と「わたし」が「わたしたち」になること